この物語は作者であるジェイムズ・ラヴグローヴが、遠い親戚の遺産として、ワトソン博士が書いたと思われる三束の古い原稿を受け取った、と言う形で語られます。即ち物語はワトソン自身が書いたものだが、それをラヴグローヴが出版するという入れ子形式になっています。また、ラヴグローヴ自信はクトゥルー神話と呼ばれるコズミック・ホラーの創始者であるH.P.ラヴクラフトの遠い親戚であり、原稿を譲り受けた元の人物はラヴクラフトの子孫であるということになっている、、、この部分は事実じゃないと思いますが('◇')ゞ、、、ちょっと手が込んでいますが、確かにこれくらいしないと物語の真実味が出て来ないという感じもわかりますね('◇')ゞ
兎も角内容はワトソンが公にして来たシャーロック・ホームズの冒険譚は全て偽りであり、この物語で語られる真実を覆い隠す為であった、、、と。そしてその真実の物語はクトゥルー神話に連なる超自然的な存在や力に関わるものであると言う、一般的なシャーロキアンにしてみたら、こんなのホームズの物語ではない!と拒絶感を覚える人も少なからずいるかも知れませんが、私自身としては、とても面白かったです。
ストーリーはネタバレになるので書きませんが、小説の時期と登場人物を含めて紹介します。
1.時期
1880年頃。即ちワトソンがホームズと出会い、ベイカー街221Bで共同生活を始めた頃と言う設定です。但しワトソンがこの原稿を書いているのは1928年。既にホームズは亡くなり、晩年のワトソンが出版を目的とせず、自らの告白という形で書かれています。
2.登場人物
・ジョン・H・ワトソン:登場。ワトソンはアフガニスタンでの従軍で受けた銃創について、「正典」のある物語では「肩」と書き、別の物語では「脚」としている。この辺りの矛盾についてシャーロキアンの間ではいろいろと議論になっているようですが、この点について、答えが出されています。
・マイクロフト・ホームズ:登場。「正典」ではワトソンがマイクロフトの存在を知ったのは7年後の1887年となっているが、実際はそうではなかったと言う話。
・メアリー・モースタン(メアリー・ワトソン):登場しない。時期的にはワトソンは独身の時代の話ですから当然ですが。
・レストレイド警部:登場。但し、この物語の中では端役的な扱い。同僚のグレグソン警部の方が多く登場します。
・ジェームズ・モリアーティ:登場。
ジェイムズ・ラグヴローグは、本書を含む「クトゥルー・ケースブック」三部作以外にもホームズのパスティーシュ本を複数書いているようです。どれもタイトルを読んだだけでもコズミック・ホラー的な感じがしますが、日本では未出版みたいです。
ではこちらはオマケですが。「シャーロック・ホームズとシャドウェルの影」を読んでいる頃に聴いていた2022年12月のプレイリストです。ご興味があればどうぞ。
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ではでは。
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