英国俳優から作家に転身したガイ・アダムズのホームズ・パスティーシュ第二弾です。前作「神の息吹」は超常現象を題材に、実在した魔術師アレスター・クロウリーを登場させる等して異色の作品に仕立てていましたが、今回は題名通り、H・G・ウェルズの小説「ドクター・モローの島」を下敷きにSFホラーに仕上げています。まあ、タイトルからはB級ホラー映画のようだ、と言う感じはしていましたが、実際に読んで見ると、やっぱりB級ホラー小説でした、、、('◇')ゞ、、、一部推理小説っぽい雰囲気の部分もあるにはあるのですが、ですが全体的には単なる冒険活劇。ホームズ本人が小説中で語っているように「この事件は最初から頭を使う機会などほとんど無かった」ですが、まあまあ楽しくは読めました。

1.時期
前作「神の息事件」が1899年末に発生した事件で、今回の事件はその直後に起きた、と言う設定なので1900年1月頃と思われます。ちなみに1900年というのは一般的には6月に「六つのナポレオン」、10月に「ソア橋」事件があったとされているだけなので、前年の1899年同様、正典で語られる事件は少ない時期ですね。
2.登場人物
・ジョン・H・ワトソン:登場。「ドクター・モローの島」からの生還者、エドワード・ブレンディックの怪死を単独で調査するなど、結構活躍します。ちなみにこの部分だけが少し推理小説っぽい感じになってはいます。
・マイクロフト・ホームズ:登場。冒頭から珍しい事にベイカー街221Bにマイクロフトがやって来ます。
・メアリー・モースタン(メアリー・ワトソン):登場しない。この時期はとっくに亡くなっていますので。
・レストレイド警部:ちょっとだ登場。ですが活躍するのは前作にも登場したロンドン郊外の町の警察署に努めるマン警部です。
・ジェームズ・モリアーティ:登場しない。
上述のように「ドクター・モローの島」の主人公エドワード・ブレンディックが登場する他、コナン・ドイルの生み出したもう一人のヒーロー、チャレンジャー博士、ジュール・ヴェルヌの「地底旅行」の主人公リンデンブルック教授、エドガー・ライス・バロウズの「地底世界ペルシダー」の主人公アブナー・ペリー、ウェルズの「月世界最初の人間」の主人公ケイヴァ―教授といったメンバーがマイクロフトの諮問機関メンバーとして、さらには正典「高名な依頼人」に登場するホームズが付き合っている裏情報屋シンウェル・ジョンソン、ベイカー街遊撃隊のリーダーだったウィギンズや、ガイ・アダムズ自身が生み出したキャラクターで探検家のロジャー・カラザースといった個性的なメンバーが沢山登場します。
尚、途中まではワトソンの視点で語られるのですが、最後の方の何章かはホームズ自身の視点、他登場人物の視点等から多面的に描かれており、ともすれば単調になりがちな最期の悪者を追い詰める場面を盛り上げる試みがなされています。この辺りは映画産業の中でキャリアを積んだガイ・アダムズらしい、と言うところなんでしょうね。
まあ、私が名付けたところの「異世界もの」の中でもあまり出来が良い方ではありませんし、普通にミステリーを期待するシャーロキアンにはおススメ出来ませんが、ヒマだったらどうぞ、と言う感じでしょうか?
では、こちらはいつも通りオマケですが、10月後半のプレイリストをご紹介します。
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ミューズのセカンドアルバム「オリジン・オブ・シンメトリー」からの選曲が多目ですが、この他グリーン・デイの「Wake Me Up When September Ends」、グーグードールズの「Name」とかも良いですね。
ではでは。
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