ブライアン・フリーマントルのホームズ・パスティーシュ第二弾です(^▽^)/
前作同様主人公はシャーロックの息子、セバスチャン。
今度はロシアに潜入し、戦争が勃発した場合、ロシア帝国がその場合に戦争を遂行する能力がどの程度あるのか、即ちロシアの帝政の盤石性について調査をするというストーリーです。前作にもちょっとだけ登場したアレクセイ・オルロフ皇子及びその娘のプリンセス・オルガが登場します。そして前作同様非常に面白かったです(^▽^)/
原題は「The HOLMES FACTOR」、、、直訳すれば「ホームズの遺伝因子」と言うような意味ですが、邦題はやや二流小説っぽいタイトルでイマイチ。でも中身は非常に良く出来た小説なので、一作目と同様にお薦めです。
1.時期
時期を正確に特定出来るような記述は少ないですが、諸々の記述から前作から約1年後頃であろうと推測されます。物語の中でオルロフの別荘で、セバスチャンがオルガと共に池で水浴びをするシーンがあります。サンクトペテルブルクの郊外で水浴びが出来るというのは真夏でしかありえませんから、6-8月の出来事ということになります。そしてオルロフとはアメリカ行きの汽船の中で出会った旧交を温めるということで会う訳ですから、前作の2013年5-6月から1ヵ月も経たない内、ということはあり得ないでしょう。一方史実としては第一次大戦のきっかけとなったサラエボ事件は2014年6月28日に発生しているので、少なくともそれ以前の話と言うことになります。
結論的には2014年6月上旬~中旬、第一次大戦の正に直前という事になろうかと思います。
2.登場人物
・ジョン・H・ワトソン:登場。出番は多くは無いですが、シャーロックや他のメンバーに劣らず理知的な人物として描かれています。
・マイクロフト・ホームズ:チャーチルの命を受け、今度はセバスチャンをロシアに送り込むことに。これにより前回以上にシャーロックとの間で緊張が生まれることになります。
・メアリー・モースタン(メアリー・ワトソン):登場しない。
・レストレイド警部:登場しない。だがシャーロックがスイスで調査を進める上で頼ったジュネーヴ警察のクランダ主任警視はレストレイドの紹介という形になっています。
・ジェームズ・モリアーティ:登場しない。冒頭シャーロックとセバスチャンがマイリンゲンを訪れる場面がありますが、そこで少し名前が出て来るのと、物語の終わりでセバスチャンの思考の中で言及があるくらい。
この他数多くの登場人物が登場します。特にロシアではスターリンやケレンスキー等革命側の政治家も登場しますし、レーニンも登場します。ちなみにロシアで帝政が倒れたのは1917年の二月革命で、その後同年の10月革命でレーニンが主導するボリシェヴィキが政権を奪取することになります。ロマノフ家の最後の皇帝ニコライ2世は2018年7月にボリシェヴィキによって家族もろとも殺害されるまで、英国に亡命出来ると考えていたようです。第一次大戦開戦前夜、そしてロシア革命に向けた動きが活発化する中で、今回も誰が仲間で誰が敵か良く分からない中でストーリーは複雑に、だが息もつかせぬ勢いで展開します。
フリーマントルのこのシリーズは前作とこの作品の二作しかないようです。この本の最後の場面や描写から、自作の構想もあったのではないかと言う気はするのですが、、。フリーマントルももうだいぶ高齢ですが、まだ存命なので出来れば次回作を期待したいところです。
ではこちらはいつも通りオマケですが、スタイルカウンシルの1984年のアルバム「Cafe Bleu」とジョー・ジャクソンの1982年のアルバム「Nitht and Day」から選んだプレイリストです。両方ともジャズっぽいサウンドを盛り込んだポップスですが、学生当時に良く聴いたアルバムです。
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スタイルカウンシルのポール・ウェラーは才能はあるけど粋がっている若造、という感じで小説のセバスチャンとイメージが重なる部分があります。ジョー・ジャクソンの方は、、、マイクロフトか、あるいはハゲのノッポということでモリアーティのイメージでしょうかね('◇')ゞ?
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