加納一郎によるホック氏シリーズ第二弾です。
日本を離れたホック氏は、チベットを目指す途中、先ず上海に立ち寄ります。そこで遭遇した事件に関わる内に、北京の紫禁城内部にまで辿り着くことに、、、。「正典」との繋がりのある人物を登場させたりと、シャーロキアン的には興味深い内容になってはいるものの、前作に比べると推理小説的要素が後退し、ストーリー展開は意外性無く、単なる冒険活劇風になってしまってるのが残念。このシリーズは第三作「ホック氏・香港島の挑戦」まであるのですが、更にその傾向が強いようですので、次作を敢えて読むかどうかは微妙、('◇')ゞ
このシリーズの最後にホームズがチベットに辿り着いたのかどうかはちょっと興味がありますけれどね、、、。ちなみに「正典」ではホームズは大空白時代に、先ずチベットに行ってラマの高僧と会い、ペルシャを横断してメッカを訪れ、ハルツームでカリフと面談した後、フランスのモンペリエでコールタール誘導体の研究をしていた、と言う事になっています。
1.時期
この小説は1891年11月7日に始まります。この時期はもちろん、前作に続き、ホームズがモリアーティ教授と共にライヘンバッハの滝に落ちて死亡したと推定されていた、所謂「大空白時代」に当たります。また、説明の必要も無いかもしれませんが、この時期の中国は清朝末期に当たります。
2.登場人物
・ジョン・H・ワトソン:登場しない。前作ではワトソンの代わりに榎元信と言う日本人が語り部役でしたが、本作では上海駐在のアーサー・ホイットニーと言うイギリス領事官付け武官が語り部役となっています。
・マイクロフト・ホームズ:登場しない。もちろん、ホック氏が上海で困らぬように領事館に手配をしてくれてたりはするのですけれどね。
・メアリー・モースタン(メアリー・ワトソン):登場しない。
・レストレイド警部:登場しない。その代わり清国按擦使直属の張志源(チャン・シー・イェン)と言う警補が登場します。「身長5フィート8インチくらいだが、横幅も誇張して言えばおなじくらいあると言っていい」と言う巨漢であるが、中国拳法の達人で、その体格に似合わぬほど素早く動くことが出来るという、「燃えよデブゴン」のサモ・ハン・キンポ―みたいな感じの人物です。「燃えよデブゴン」1978年の映画で、この小説は1988年発表ですから、影響を受けた可能性は否定出来ないですね。
・ジェームズ・モリアーティ:登場しない。但しジェームズ・モリアーティ教授の弟のウィリアム・モリアーティーが敵役として登場します。
この他、ホームズが諮問探偵を志すきっかけとなった「グロリア・スコット号事件」に登場する、ホームズの大学時代の唯一の友人ヴィクター・トレバーが登場したり、当時の清朝を支配していた西太后が登場したりします。そう言えば、この時期はイギリスもヴィクトリア女王の時代ですから、イギリス・中国とも女王の時代だったことになりますね。
前作の「ホック氏の異郷の冒険」に関する記事はこちら
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では、こちらはいつも通りオマケですが、12月のプレイリストです。ご興味ある方はどうぞ。
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ではでは。
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