これはかなりオタク度合いの高い小説です。なんてたってモラン大佐が語り手であり、かつ主人公ですし(;´Д`)
普通の人にはモラン大佐って誰?って感じでしょうし、ホームズ譚の中でもどちらかと言えばマイナーな登場人物です。私もここまで32冊のホームズ・パスティーシュを読んで来ましたが、モラン大佐が登場したとハッキリ覚えているのは松岡圭祐の「シャーロック・ホームズ対伊藤博文」くらいで、アンソニー・ホロヴィッツの「モリアーティ」にすら出て来なかったように思います。
この上巻は「血色の研究」「ベルグレーヴィアの騒乱」「赤い惑星連盟」「ダーバヴィル家の犬」の4章から成り立っています。それぞれホームズ正典の物語のタイトルをもじって付けられているのは分かりますが、中身はそのままホームズ正典のパロディになっているものもあれば、ホームズ以外の物語をベースにしているのもあります。
1.時期
この物語は1880年(何月かは定かでない)、モラン大佐がアフガニスタンからロンドンに帰って来て、路頭に迷っているところから始まります。そして何とモラン大佐をモリアーティに紹介するのもスタンフォード(医師ではなく詐欺師ですが、、、。こうしてモラン大佐とモリアーティ教授の同居生活が始まります。犯罪者からの依頼を受けて計画を練ったりする犯罪コンサルタントのモリアーティのもとには、次から次へと犯罪を企てる悪党が訪れるのでした、、、、('◇')ゞ('◇')ゞ('◇')ゞ
2.登場人物
・ジョン・H・ワトソン:登場しない。ちなみにホームズも登場しません('◇')ゞ
・マイクロフト・ホームズ:登場しない。ただ第4章の「ダーバヴィル家の犬」の最初の方で、モリアーティがロンドン塔から宝石を盗み出す計画を実行する代わりに、ホワイトホールの「太った男」にその計画を売った、という話があり、この「太った男」は恐らくマイクロフトではないか、と思わせてくれるくだりはあったりします。
・メアリー・モースタン(メアリー・ワトソン):登場しない。
・レストレイド警部:登場しない。
・ジェームズ・モリアーティ:登場。悪の権化ですが、彼の仕業で起きた結果は何故か最後スッキリさせてくれます。
この他正典に出て来る登場人物としては、アイリーン・アドラーが第二章「ベルグレーヴィアの騒乱」に出て来ますが、モリアーティは彼女の事を「あのあばずれ」と呼んでいます(英語では”The Bitch"でしょうか、、、('◇')ゞ('◇')ゞ('◇')ゞ、、、ちなみにこの章は正典の「ボヘミアの醜聞」をパロっているものの、内容はアンソニー・ホープの「ゼンダ城の虜」と言う物語をベースにしています。
ちなみにちなみに第三章「赤い惑星連盟」は題名は「赤毛連盟」をパロっているものの内容はH.G.ウェルズの「水晶の卵」「宇宙戦争」のパロディです、、、('◇')ゞ('◇')ゞ('◇')ゞ、、、作者のキム・ニューマンは「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」を読んで、この着想を得たのかも知れません、、、だとするとパロディのパロディという事になりますね、、。
この小説の中で発せられるモリアーティのセリフや行動は、ホームズのパロディになっているものが多いです。第四章の「ダーバヴィル家の犬」では、以下のようなセリフがあります、、。
「ウスノロどもがおまえに信じさせようとするだろう、不可能なことを取り除いて行けば、ありそうになかろうとも残ったものが真実にちがいない、と、、だが数学的精神にとっては、不可能とは単に未だ解かれていない「定理」に過ぎない。」、、なるほど、なるほど、、、。
かなりオタク度合いが強いので、人によっては「何コレ?」と言う感じでしょうが、私は面白く読めました、、、私も結構なオタクになって来たということでしょう('◇')ゞ
文中で言及したアンソニー・ホロヴィッツの「モリアーティ」に関する記事はこちら
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文中で言及した「シャーロック・ホームズの宇宙戦争」に関する記事はこちら
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ではこちらはいつも通りオマケですが、今回は2022年12月後半に聞いていたプレイリストです。何故かというと、、、、特に理由はありません('◇')ゞ
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この頃久しぶりの海外出張に行っていて、その間に聞いていたプレイリストの一つです。
ではでは。
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